書誌事項
- タイトル別名
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- A New Species of the Genus <i>Lanceolaria</i> (Bivalvia: Unionidae) from Japan
- A New Species of the Genus Lanceolaria (Bivalvia: Unionidae) from Japan
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説明
<p>以前は琵琶湖淀川水系には固有種のササノハガイLanceolaria oxyrhynchaが,それ以外の西日本にトンガリササノハガイLanceolaria grayiiが分布していると考えられていたが,近年になって前者を後者のシノニムとして,日本にはL. grayii 1種だけが分布しているとされるようになった。最近の分子系統解析の結果,琵琶湖の集団と他の本州の集団は遺伝的に異ならず,琵琶湖の集団がこの水系の固有種ではないことが明らかになった。しかし,本州と九州の集団は遺伝的に大きく異なり,別種であることが示唆された。さらにこれらの集団はL. grayiiのタイプ産地である中国の集団とは遺伝的に大きく異なることも明らかになった。つまり,L. grayiiは日本には分布せず,L. oxyrhyncha(ササノハガイ=トンガリササノハガイ)が本州と四国に分布し,九州には未記載種が分布することが明らかになったので,後者をここに新種として記載する。</p><p>Lanceolaria kihirai n. sp. キュウシュウササノハガイ(新種・新称)</p><p>殻は極端に細長く大型で,通常は殻長15 cmを超えない。前縁は丸く,後端は尖る。殻頂は前方による。殻表には弱い皺状の彫刻が見られる。稜角は丸く,後端に近づくにつれて不明瞭となる。左殻には2本の後側歯と擬主歯があり,右殻には1本の後側歯と三角状の擬主歯がある。前閉殻筋痕は深く丸いが,後閉殻筋痕は浅く細長い。真珠層は淡いピンク色をしている。幼生は亜三角形で,刺状突起がある。殻長は殻高より大きい(208 × 215 μm,松浦川産標本の計測値,n = 10)。幼生の色は多彩で,淡黄色や橙色である。</p><p>ホロタイプ(OMNH-Mo 39048,殻長67.6 mm,殻高22.0 mm,殻幅13.2 mm)。</p><p>パラタイプ12個体(大阪市立自然史博物館 OMNH-Mo 39049~39060)。</p><p>タイプ産地:福岡県柳川市,二ツ川。</p><p>分布:九州北部(福岡県,大分県,熊本県,佐賀県,長崎県)に固有。</p><p>備考:Lanceolaria triformis(中国)とL. lanceolata(中国)の殻はねじれており,ササノハガイL. oxyrhyncha(本州西部,四国),L. grayii(中国,ロシア,ヴェトナム), L. gladiola(中国)とL. acrorrhyncha(韓国)の稜角は殻頂から後端まで明瞭で,本種とは区別できる。</p>
収録刊行物
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- Venus (Journal of the Malacological Society of Japan)
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Venus (Journal of the Malacological Society of Japan) 78 (1-2), 27-31, 2019-12-25
日本貝類学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390004222634158848
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- NII論文ID
- 130007925150
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- NII書誌ID
- AA11565254
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- ISSN
- 21897697
- 13482955
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- NDL書誌ID
- 030184099
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- 本文言語コード
- en
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- データソース種別
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- JaLC
- NDLサーチ
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可