低栄養による生殖機能抑制は室傍核ダイノルフィンニューロンによる弓状核キスペプチンニューロンの抑制によって仲介される

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Paraventricular dynorphin A neurons mediate malnutrition-induced inhibition of reproduction via affecting arcuate kisspeptin neurons in rats

抄録

<p>【目的】哺乳類の生殖機能は低栄養状態で抑制される。これは低栄養シグナルによる性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)/性腺刺激ホルモン分泌の抑制に起因する。本研究では,低栄養シグナルによるGnRH/黄体形成ホルモン(LH)のパルス状分泌の抑制におけるダイノルフィンA(Dyn)ニューロンの役割を明らかにすることを目的とした。【方法】成熟雌ラットを用い,卵巣除去および低濃度17β-エストラジオール処置(OVX+lowE2)を施した。末梢もしくは第4脳室(4V)へグルコース利用阻害剤である2-deoxy-D-glucose(2DG)投与した動物を低栄養のモデルとした。OVX+lowE2ラットの第3脳室内にDyn受容体拮抗剤を投与し,直後に2DGを静脈内または4Vへ投与し,血漿LH濃度を測定した。また,4Vに2DGもしくは溶媒を投与した1時間後に採取したOVX+lowE2ラットの脳切片を用い,二重in situ hybridizationによりDyn遺伝子(Pdyn)とニューロン活性化マーカーであるc-Fos遺伝子(fos),あるいはキスペプチン遺伝子(Kiss1)とDyn受容体遺伝子(Oprk1)の共発現を検討した。【結果および考察】Dyn受容体拮抗剤の脳内投与により,末梢あるいは4Vへの2DG投与によるLH分泌抑制が解除されたことから,2DGによるLHパルス抑制は,Dyn受容体により仲介されることが示唆された。2DG投与により,視床下部室傍核のPdyn陽性細胞数においてのみ対照群に比べfos発現が有意に増加したことから,低栄養シグナルは室傍核のDynニューロンが活性化することが示唆された。また,弓状核Kiss1陽性細胞の61%にOprk1発現が認められた。以上の結果から,低栄養時には室傍核を起始核とするDynニューロンが活性化され,Dynが弓状核キスペプチンニューロンを直接抑制することにより,GnRH/LH分泌が抑制され,生殖機能が抑制されることが示唆された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390004222634650496
  • NII論文ID
    130007925732
  • DOI
    10.14882/jrds.113.0_p-3
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ