二次がんの遺伝的背景

  • 吉田 仁典
    国立成育医療研究センター 小児血液・腫瘍研究部
  • 加藤 元博
    国立成育医療研究センター 小児血液・腫瘍研究部 国立成育医療研究センター 小児がんセンター

書誌事項

タイトル別名
  • Genetic basis of subsequent malignant neoplasms
  • ニジ ガン ノ イデンテキ ハイケイ

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抄録

<p>二次がんは,造血器腫瘍を含むがん患者における最も重篤な晩期合併症の一つであり,がん治療後の長期サバイバーの10%以上が二次がんを発症するとされている。これまでもがんの発症の背景にある生殖細胞系列のバリアントの関与が報告されてきたが,二次がんについても生殖細胞系列のcancer predisposition genesのバリアントがそのリスクと関連することが報告されている。TP53遺伝子の生殖細胞系列のバリアントが二次がんのリスクとなることはその代表的な例である。また,小児がん長期サバイバーを対象とした大規模なコホートを対象とした網羅的なゲノム解析からは,何らかのcancer predisposition genesのバリアントを有することが,二次がんの累積発症率の増加と関連することが示された。さらに他の遺伝的リスクとして,急性リンパ性白血病治療後の二次がんにおいて,6-メルカプトプリンの代謝を制御するTPMT遺伝子などの多型が二次がん発症の一因になる可能性が示唆されている。二次がんのリスクは治療と遺伝的背景の関連によって影響されることが明らかとなった。長期生存率の上昇により晩期合併症への配慮が必要となり,二次がんのリスクに応じた治療選択が必要である。</p>

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 61 (9), 1174-1178, 2020

    一般社団法人 日本血液学会

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