ランゲルハンス細胞組織球症の基礎と臨床

  • 東條 有伸
    東京大学医科学研究所先端医療研究センター 分子療法分野
  • 小林 真之
    東京大学医科学研究所先端医療研究センター 分子療法分野

書誌事項

タイトル別名
  • Pathophysiology and treatment of adult Langerhans cell histiocytosis
  • ランゲルハンス サイボウ ソシキキュウショウ ノ キソ ト リンショウ

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説明

<p>ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)は,CD1a/CD207細胞の集簇と炎症細胞浸潤を特徴とする稀少疾患である。1987年ヒスチオサイトーシスXからLCHに名称変更されたが,細胞系譜は骨髄系樹状細胞に近い。2010年,過半数の患者検体にBRAF-V600Eが検出され,その後,ほぼ全ての患者検体でERKのリン酸化が認められたため,LCHはMAPキナーゼ経路の活性化に起因する腫瘍と考えられ,Histiocyte Societyの2016年改訂分類では,炎症性骨髄腫瘍と定義された。国内外の臨床試験によって小児例の予後は改善されてきたが,成人例では十分なエビデンスのある治療法は未だ確立されていない。予後は比較的良好であるが,診断や治療の遅れは重篤な臓器障害やQOLの低下を招く可能性がある。本稿では,この稀少がんを理解いただくために,その病態生理と治療における最近の進歩を紹介する。</p>

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 61 (9), 1028-1034, 2020

    一般社団法人 日本血液学会

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