ポスト紛争社会の政治動員と投票率の関係――イラクにおけるサーベイ実験から――

DOI DOI 機関リポジトリ (HANDLE) Web Site Web Site オープンアクセス

書誌事項

タイトル別名
  • Political Mobilisation and Its Impact on Voter Turnout: A Survey Experiment in Iraq
  • ポスト フンソウ シャカイ ノ セイジ ドウイン ト トウヒョウリツ ノ カンケイ : イラク ニ オケル サーベイ ジッケン カラ

この論文をさがす

説明

<p>本稿の目的は，ポスト紛争期のイラクの選挙において，政治動員が投票参加にどのような影響を及ぼすのかという問題を明らかにすることである。</p><p>戦後イラクの選挙では，投票率が高い水準で推移してきた。だが，政治エリートの汚職や有権者を無視した政治利権をめぐる対立，イスラーム国（IS）掃討作戦にともなう行政サービスの質の低下などにより政治不信が深刻化し，2018年5月に行われた第4回議会選挙では，投票率が前回選挙を20ポイント近く下回った。こうした政治不信が蔓延した状況下では，政治動員を受けた有権者は投票所に足をむけるのだろうか。本稿では，著しい政治不信状況が広がった同選挙のキャンペーン期間中に電話動員の効果をはかるサーベイ実験を行った。実験データを計量分析にかけると，動員を受けた有権者は投票に行きにくくなるということが明らかになったのである。</p><p>こうした結果から，われわれは政治不信が蔓延する状態では，政治動員が有権者の投票参加の意思を阻害する効果をもつ，という結論を導出した。</p>

収録刊行物

  • アジア経済

    アジア経済 61 (3), 2-27, 2020-09-15

    独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所

関連プロジェクト

もっと見る

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ