ダブルバルーン内視鏡にて十二指腸穿孔をきたした非結核性抗酸菌性小腸炎の1例

DOI

この論文をさがす

抄録

<p>【背景】小腸穿孔はバルーン内視鏡の注意すべき偶発症としてあげられる。今回、非結核性抗酸菌症よる小腸炎の精査で経口ダブルバルーン内視鏡を施行し、十二指腸で穿孔した1例を経験したので報告する。</p><p>【症例】28歳女性。7歳の時にSLE、シェーグレン症候群と診断、以後ステロイド等で長期間治療されていた。2017年10月頃より食欲不振を認めるようになり、2019年3月頃より腹痛も認めるようになり、入院。入院時のCTで上部小腸に炎症性変化を認めた。パテンシーカプセルで開通性なしと診断、バルーン内視鏡での精査の方針となった。経口ダブルバルーン内視鏡ではTreitz靱帯近傍に白色調の浮腫状粘膜を認め、生検、培養施行し終了とした。内視鏡抜去後の透視画像でfree airを疑う所見を認め、CT施行、後腹膜にairを認め、十二指腸での穿孔が疑われた。外科コンサルトのうえ、本人の症状軽微のため1日様子を見たが、翌日のCTでairの増加を認め、緊急手術となった。術中所見として、Treitz起始部から30cmにわたって、多数の白色結節を認め、同部位より生検培養施行した。穿孔部は下十二指腸角で認めた。小腸粘膜・白色結節からの抗酸菌培養陽性、またPCRでMycobacterimu genavenseを認め、小腸炎は非結核性抗酸菌症によるものと考えられた。術後経過は良好で、入院中よりAZM+AMK+LVFXが開始となった。</p><p>【考察】バルーン内視鏡による十二指腸穿孔の報告は少ない。本症例は原病も含めてまれな症例と考えられ、文献的考察を加えて報告する。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ