エンジン式草刈り機の刃による経眼窩的頭部穿通外傷の一例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of transorbital penetrating head injury by the broken blade of a powered lawn trimmer
  • エンジンシキ クサカリ キ ノ ハ ニ ヨル ケイガンカテキ トウブセンツウ ガイショウ ノ イチレイ

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説明

<p> 穿通性頭部外傷は箸,傘,ペンなどの日常生活用品の他に,刃物,ガラス片,ネイルガンなどの鋭利なものによっても生じる.我々は,エンジン式草刈り機の刃という比較的稀な原因による経眼窩的穿通外傷を経験したので報告する.症例は69歳男性で,草刈り機で作業中に右眼に異物が当たり,近医眼科で眼球破裂ありとのことで,walk‒inで当院救急外来を受診した.意識はJCS 2,GCS 14(E4V4M6),右視力は光覚弁であった.運動麻痺はなかった.頭部XPで右眼窩内,右頰部,右前頭葉内に複数の金属製異物を認めた.頭部CTでは左側に無症候性の慢性硬膜下血腫と右前頭葉内に3つの異物が確認できた.まず眼窩内の金属片を除去し,その後開頭によって頭蓋内異物を摘出した.異物は島回の前方にあると考えられたため,シルビウス裂を開放して経皮質的に摘出した.頭蓋内異物は骨片と欠けた草刈り機の刃であった.眼窩内異物の位置同定にはX線透視が,頭蓋内異物の位置同定にはエコーが有用であった.術後の意識はJCS 2,高次脳機能障害を認めたが徐々に快復し,mRS 2で退院した.穿通性頭部外傷は日常診療で遭遇することは稀であるが,搬入されてきた際に慌てず速やかに治療を行う体制と心構えが必要である.</p>

収録刊行物

  • NEUROSURGICAL EMERGENCY

    NEUROSURGICAL EMERGENCY 25 (2), 294-300, 2020

    特定非営利活動法人 日本脳神経外科救急学会 Neurosurgical Emergency

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