P-2-C06 生活を豊かにする座位保持装置を作製して

DOI

この論文をさがす

抄録

はじめに 出生後長期入院をしている重症心身障害児(以下、重症児)の中には重篤な脊柱や胸郭の変型を併せ持っている児が多くいる。自宅退院後は体位交換等を家族が行わなくてはならず、家庭にあるクッション等では限界がある。訪問リハビリテーションの目標を安定した呼吸状態の維持と姿勢管理とし、座位保持装置の作製をした。 症例紹介 Yちゃん、女児、低酸素脳症による脳性麻痺、2年間大学病院に入院、療育センターで母子入院をし自宅退院となる。大島分類1の超重症児。単純気管切開、夜間人工呼吸器使用、呼気管理のためのスピーチバルブ使用、胃瘻。 評価 背臥位では強度の側弯により背側後面に凸部あり、常に片側に体幹が傾き脊柱の捻れも見られる。下側になる上肢の動きが阻害され、上側の上肢の重みで両側とも胸郭変形がある。体位交換時は唾液の垂れ込みもあり急激なSAT低下が起きるため1人で行うことが困難であった。 作製に向けてのプログラム 背臥位と側臥位の状態を評価しスポンジを2個使用して下側になる上肢を隙間に入れ上肢にかかっていた圧をどこで支えられるかを実践した。側臥位から背臥位、反対側への体位交換を行った際の幅を計った。体位交換時に支える必要のある身体の部位を確認しスポンジで代用できるかを検討した。各体位の支持部と圧を抜く部分を決めそれぞれの体位を採型機を使って採型した。 結果 土台になるスポンジと体位交換用クッションを作成し、それぞれに凹凸をつけることで本人を持ち上げず頭頸部を支えることに留意すれば安全に体位交換をすることができるようになった。背臥位が安定することでギャッジアップを行うことが出来た。家族も介護に対する不安が解消し生活にも余裕が生まれた。 考察 重症児の介護は家族の精神的負担が非常に大きい。しかし自宅での介護の工夫を家族と一緒に具体的に形にしていくことで生活を豊かにすることができると思った。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ