東日本大震災での住宅・宅地の被災の社会経済的特徴と課題

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タイトル別名
  • The socio-economic features and issues of the calamities of buildings and housing sites in the Great East Japan Earthquake
  • ヒガシニホン ダイシンサイ デ ノ ジュウタク ・ タクチ ノ ヒサイ ノ シャカイ ケイザイテキ トクチョウ ト カダイ

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抄録

<p>東日本大震災では建物被害や宅地の崩壊など被害も数多くみられる.それらに対しては,建築や土木,地質などの領域において調査が進められているが,その社会経済的な分野での検討は限られたものになっている.そこで,本研究では東日本大震災における建物・宅地の被災の社会経済的な特徴を明らかにし,今後検討を要するとみられる課題を以下のように示した.</p><p>建物に対しては現在調査結果が明らかになってはいないものの,宮城県沖地震を契機として改正された耐震基準前後で被害状況が異なると推測される.また,この耐震基準制定以前の建物に対しては耐震工事促進のために仙台市で助成金を支出していたが,これらの建物の被災状況も明らかにする必要がある.これらによって,耐震政策の効果が明らかになれば,今後の防災にも資することになる.</p><p>宅地の被害は宅地造成等規制法の基準や規制が適用される以前の高度経済成長期に造成された開発地で多くみられる.ただ,この宅地造成等規制法は成立後約10年間適用されていなかった.その理由を明らかにする必要があるだろう.また,これらの宅地では人口減少と高齢化が顕著になっているところが多い.そのため,この復興のためには空間の原状回復だけでは問題解決にならず,都市圏全体の中での居住のあり方を考慮に入れた対応が求められる.</p>

収録刊行物

  • 都市地理学

    都市地理学 7 (0), 29-40, 2012-03-15

    日本都市地理学会

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