国立健康・栄養研究所における日本人のエネルギー必要量と身体計測に関する研究の歴史

  • 畑本 陽一
    国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所国立健康・栄養研究所栄養・代謝研究部
  • 髙田 和子
    国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所国立健康・栄養研究所栄養・代謝研究部 東京農業大学応用生物科学部
  • 田中 茂穂
    国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所国立健康・栄養研究所栄養・代謝研究部 女子栄養大学栄養学部

書誌事項

タイトル別名
  • History of Studies on Energy Requirements and Anthropometry in Japanese at the National Institute of Health and Nutrition

この論文をさがす

抄録

<p>【目的】 1920年に栄養研究所(現・国立健康・栄養研究所)が設立されて以来,エネルギー代謝に関する研究は,本研究所の主要な研究課題の1つとして進められてきた。本総説では,これまで本研究所で実施された,ヒトにおけるエネルギー消費量とそれに関連した身体計測についての研究の歴史を概説する。</p><p>【方法】これまでの研究の歴史を概説するにあたり,主に本研究所からの論文や書籍・記念誌,およびProgress of the Science of Nutrition in Japanを参照した。</p><p>【結果・考察】本研究所のエネルギー代謝研究は,栄養研究所の初代所長である佐伯博士が注力した研究の1つであったことがきっかけであった。高比良博士は,佐伯博士の命を受け,カーネギー研究所のベネディクト博士から呼吸装置を用いた基礎代謝の測定法を学び,その後,日本人の基礎代謝基準値を作成するため,日本人の基礎代謝量を測定するとともに,性別・年齢・体重・身長といった基礎代謝量の要因について検討した。また体表面積や皮下脂肪による体脂肪率の推定など,身体計測に関する研究も並行して実施され,それらの身体計測値は基礎代謝量の推定式に用いられた。さらに2000年以降には,ヒューマンカロリメーターや二重標識水法が国立健康・栄養研究所に導入されたことにより,総エネルギー消費量や身体活動レベルに関する研究が実施され,それらを推定する方法も提案されている。</p><p>【結論】本研究所で得られた一連の結果は,日本人の食事摂取基準のエネルギー必要量の策定に活用されているとともに,多くのエネルギー代謝研究の土台となっている。</p>

収録刊行物

  • 栄養学雑誌

    栄養学雑誌 78 (Supplement), S71-S79, 2020-12-01

    特定非営利活動法人 日本栄養改善学会

参考文献 (31)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ