自閉スペクトラム症の特性に応じた個別支援と薬物治療が有用であった周期性嘔吐症の男児例

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  • Usefulness of individual support and medication for autism spectrum disorder traits in a boy with cyclic vomiting syndrome

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<p> 自閉スペクトラム症 (ASD) の特性に応じた個別支援および投薬が発作消失に有用であった周期性嘔吐症の7歳男児例を経験したので報告する. 新生児期に食道閉鎖症 (Gross C) に対する根治術の既往歴あり. 母親と祖母に片頭痛の家族歴あり. 周期性嘔吐症は1歳4か月時に発症し, 以後月に1〜3回の嘔吐発作が持続した. 様々な薬物治療が試みられたが, 嘔吐発作の抑制には効果がなかった. 精査加療目的で, 7歳4か月時に当科に紹介された. その際, 視線の合いにくさ, 強迫観念, コミュニケーションの困難さなどの特性があり, ASDの診断に至った. そこで, ASD特性への配慮と薬物治療を行うことで周期性嘔吐症の改善を目指した. 学校でも特性に応じた配慮が受けられるようになり, 通学に対する不安が解消され, 登校できるようになった. 予防薬は, risperidone, amitriptin, sodium valproateの3剤の組み合わせに変更した時点で, 嘔吐発作は消失した. 現在9歳3か月となったが, ここ14か月の間に嘔吐発作の再発は認めていない. 難治性の周期性嘔吐症患者においては, 発達障害の有無の精査とそれに対する支援が重要であると考えた.</p>

収録刊行物

  • 脳と発達

    脳と発達 53 (1), 54-57, 2021

    一般社団法人 日本小児神経学会

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