P-1-D07 当園独自の“押しつぶし食”は嚥下調整食として適当かどうか

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抄録

はじめに 当園の“押しつぶし食”は、介助者の押しつぶし作業を前提とした嚥下調整食であり、外観が常食に近いため重宝している。今後の施設間連携を踏まえ、物性測定により嚥下調整食としての適性を評価し、課題を検討した。 対象 市販魚ムース、市販えびムース、小松菜、白菜、人参、大根、豆腐の7種。 方法 1.厨房から提供されたままのものと、介助にてつぶされた状態のものとの物性をクリープメーターを用いて比較。2.測定結果を、既存の嚥下調整食分類(A特別用途食品えん下困難者用食品の許可基準、B嚥下食ピラミッド、C日本摂食嚥下リハビリテーション学会分類2013)と照合。 結果 1.ムース:硬さ・凝集性ともに有意に弱まった。小松菜:いずれも有意差なし。白菜・人参・大根・豆腐:硬さは有意に弱まったが、凝集性は強まった。 2.分類Aでは、つぶし加減にかかわらずほとんどの食材が3に分類された。魚ムース・人参・大根は、提供そのままでは基準外。分類Bでは、ほとんどの食材が、そのままではレベル4、つぶされた状態ではレベル3であった。小松菜・豆腐はつぶし加減にかかわらずレベル3、大根のそのままでは基準外となった。分類Cでは、ほとんどの食材が、そのままではコード3、つぶされた状態ではコード2−2であった。小松菜・豆腐はつぶし加減にかかわらずコード2−2、大根はそのままでは基準外。 考察 小松菜・豆腐は、これまでの食事調査により、厨房で細かく包丁で刻んでいたため、測定比較では差が得られなかったと考える。そのままの状態では一部の食材が嚥下調整食の分類に入らないものもあったが、“押しつぶし食”は介助者の押しつぶし作業が不十分な場合、利用者へ提供するのには危険を伴う。今回の結果を共有し、多職種で“押しつぶし食”のメリット・デメリットを整理し、上手く食べることができない方に、さらに安全で美味しく楽しい食事を提案していきたい。

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