猪苗代湖集水域の水循環に伴う物質収支に関する研究 (2)

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タイトル別名
  • Study on mass balance associated with water circulation in Lake Inawashiro catchment (2)
  • -Focusing on the Neutralization Problem-
  • ‐中性化問題に焦点をあてて‐

抄録

<p> Ⅰ はじめに 法政大学水文地理学研究室では、湖沼と集水域の長期的な水環境変化について調査をおこなっており、猪苗代湖に関してはすでに年間を通じての観測を行っている。本研究は、最新の現地調査(2020年12月)と過去のデータ及び既往研究との比較を行うことで、猪苗代湖の中性化の現状をより明らかにすることを目的としている。Ⅱ 研究方法 現地では気温、水温、pH、RpH、電気伝導度(EC)の測定をおこなった。試料は実験室で処理し、TOCやイオンクロを用いて主要溶存成分(N+、K+、Ca²+、Mg²+、Cl-、NO3-、SO4²-)の分析をしている。2020年10月から12月の計3回調査のうち、2020年11月のみ湖心の調査を行っている。Ⅲ 結果と考察 2020年12月調査では、それぞれの項目において、これまでの調査結果と比較して全体的に低い値が観測された。とりわけ猪苗代湖の水質調査地点は湖北から時計回りに崎川浜、上戸浜、南波浜、船津浜、十六橋の計5地点あるが、電気伝導度に関しては上戸浜と船津浜を除いていずれも前回値(2020年11月)と同値か、または低い値である。pHは猪苗代大橋と酸川橋、月輪大橋で3.3-3.5の強い酸性を示したが、この3地点は変動係数が非常に大きい。一方、電気伝導度に関しては横沢橋が最も変動係数が大きいが、この地点は流量が0m/sであった。流量が最も大きい地点は、長瀬川の月輪大橋で12.0t/sであった。また、CODが6(最大値)である地点におけるECは120µS/cmであり、ECが880µS/cm(最大値)である地点におけるCODは4となり、両者間に顕著な相関はみられなかった。Ⅳ おわりに これまでの現地調査結果により猪苗代湖水の性質の変化が明らかになったが、中性化に注目するにあたっては、年間を通じた調査が必要である。猪苗代湖の中性化に関しては、流入河川中のフラックス量の増減が大きな鍵を握っていると考えられるため、今後の調査ではこれまで以上に流量の測定に注意し、集水域調査を継続していきたい。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390006050800972928
  • NII論文ID
    130008006607
  • DOI
    10.14866/ajg.2021s.0_146
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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