バルメット・リモートサービス環境の構築

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タイトル別名
  • Remote Service by Valmet
  • バルメット ・ リモートサービス カンキョウ ノ コウチク

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抄録

<p>製紙業界は,今,岐路に立たされている。周知のとおり,スマートフォンや,タブレット端末,電子ブックといったデジタル端末の普及によって電子化が進み,紙ベースで情報を取り入れなくなったからであり,需要は減ってきている。アナログからデジタルへ移り変わっている最中であり,衰退している現実を目の当たりにしている。周辺の環境は,常に様変わりしており,製紙業界も例を外れることなく,産業の転換の波にもまれている。その中で,デジタル化とネットワークの利点を生かした,リモートサービスの利用で,不意のマシン停止を逃れ,計画的にメンテナンスを行い,操業に好影響になる実績を出している顧客の実例もある。</p><p>現在,コロナ禍で,海外技術者の派遣に制限がかかり,フィールドサービスの業務に支障が出ているが,実際,リモートサービスの活用で,海外技術者と連携を図る事ができ,滞りなく業務が遂行されたケースもある。</p><p>デジタルの変革の波は,製紙工場の現場にも表れており,IOT(Internet of things)の出現で,各所にセンサーが配置されるようになった。これらを実際にマシンの各部分に実装することでセンサーから様々なデータを取り込む事が可能になる。蓄積されたデータを診断し,もしくは分析して的確な処置を施すことが可能になりつつある時代になってきた。それらを,オンサイトとメーカーとでネットワークでつなぎ,現地で行っていたものを遠隔で行う作業がリモートサービスの主体業務である。以前において,マシンのトラブル発生時は,メーカーのフィールドサービスを担当する技術者が現地に出向いて,実際にマシンを診断し,想定される不具合を診断する必要があった。これには,不具合項目によって,スキルに応じた技術者を派遣する必要がある。不具合箇所の診断や,生産品目の分析及び解析には,経験と知識が欠かせないからである。もし,センサーにより,不具合箇所のデータが得られ,原因の特定に至ることが可能であるならば,実際に現地に行く必要が無くなり,突然のマシン停止や,設備の損傷を防ぎ,経費の削減に繋がるものと期待される。</p><p>現実,リモートサービスはまだまだ,普及しておらず,展開されていくには時間が掛かるもの思われる。バルメット社では,先進的なリソースを市場に公開しており,問題の解決に役立つ製品群を提供,持続的に顧客と共に成長していく使命を果たす所存である。</p>

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 75 (1), 51-54, 2021

    紙パルプ技術協会

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