災害時に的確な危険回避行動を導くための情報コミュニケーション

  • 田中 健次
    電気通信大学 大学院情報システム学研究科情報システム運用学専攻
  • 伊藤 誠
    筑波大学 電子・情報工学系

書誌事項

タイトル別名
  • Communication and Information Inducing Suitable Danger-avoidance Actions from Disaster
  • サイガイジ ニ テキカク ナ キケン カイヒ コウドウ オ ミチビク タメ ノ ジョウホウ コミュニケーション

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抄録

<p>災害時の危険は、基本的には個人が自分の責任で回避する必要がある。しかし、災害時に得られる情報は少なく、一個人の有する知識や理解力であらゆる災害に的確に対処することは難しいため、個人は科学者や専門家が発する少ない情報を活用して、直面する事態に対処しなければならない。しかし1999年、警報発令下の玄倉川で増水した濁流にキャンパーが流される事故が発生し、同年の臨界事故では住民の避難行動が遅れた。なぜ彼らは迅速に危険の状況を認識し、的確な危険回避行動を選択できなかったのか。その原因を、対応組織間のコミュニケーションの不備や、住民やキャンパーへの情報伝達の方法上の問題としてとらえ、自己判断を導く支援情報のあり方が、これまでの情報収集、専門家による科学的判断、行政判断、伝達というプロセスでは不十分であることを指摘する。そして、人間-機械システム設計の安全性で議論されている状況認識の観点や、ポリエージェントシステムモデルを導入し、行政判断の遅れを補完し自己判断を促すために効果的な情報伝達方法として、3つの情報コミュニケーションのパスを提案する。それらは1)専門家からの科学情報の直接的提供と公開、2)行政判断の結果伝達への根拠情報の付加、3)専門家との双方向コミュニケーションの3点であり、インターネットの利用が効果的であることを示す。</p>

収録刊行物

  • 災害情報

    災害情報 1 (0), 61-69, 2003

    日本災害情報学会

被引用文献 (3)*注記

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