脊髄可塑性を促す非侵襲的脳刺激法と理学療法
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- 山口 智史
- 山形県立保健医療大学 保健医療学部 理学療法学科
抄録
<p> 運動療法を主体とする理学療法において,非侵襲に頭蓋上から中枢神経系の活動を変調できる非侵襲的脳刺激は魅力のあるツールである。本手法は,脳皮質を刺激対象としていることから,脳が介入の主目的となっている。一方,脊髄における神経調節機構は,脳からの調節を受けることから,間接的に脊髄に対してもアプローチが可能である(Huang et al., 2009; Roche et al., 2011)。</p><p> 中枢神経疾患において,脳障害に伴う脊髄反射機構の障害は痙縮や運動調整に深く関連し,歩行における周期的な下肢運動調節にも影響を与えることから,理学療法において重大な問題である。しかし,リハビリテーションの神経基盤であるシナプス可塑性を,脊髄において誘導する有効な介入方法は十分に検討されていなかった。そこで,我々は,皮質興奮性を変調する経頭蓋直流電気刺激(tDCS)と末梢神経電気刺激を組み合わせた手法が脊髄可塑性と下肢運動機能に及ぼす効果を検討してきた(Yamaguchi et al., 2016)。</p><p> また,新しい試みとして,脳皮質のシナプス電位の変動と脊髄運動ニューロンにおける活動電位の変動の同期性を評価する脳波-筋電図コヒーレンスを指標とした経頭蓋交流電気刺激(tACS)の研究を進めている。脳波-筋電図コヒーレンスの変化は,運動学習過程や脳卒中後の運動機能回復との関連が示唆されている。そこで,運動に関わる脳と脊髄の神経コミュニケーションの可塑性を強化することを目的に,運動学習後に増加する脳波-筋電図コヒーレンス周波数をtACS刺激設定にすることで,運動学習の定着に及ぼす効果を検討している。</p><p> シンポジウムでは,上記の研究知見を紹介し,理学療法を促進するために非侵襲的脳刺激をどのように活用していくのかについて,シンポジストおよび参加者と議論したい。</p>
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 47S1 (0), B-16-B-16, 2020
公益社団法人 日本理学療法士協会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390006065651556608
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- NII論文ID
- 130008010739
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可