紙パルプ製造工程でMACSによる高度プロセス制御技術を実装する利点

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タイトル別名
  • Benefits of Implementing Advance Process Control Technology Using MACS in Pulp & Paper Making Processes
  • カミパルプ セイゾウ コウテイ デ MACS ニ ヨル コウド プロセス セイギョ ギジュツ オ ジッソウ スル リテン

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抄録

<p>最適なプロセス制御では,複数のMV(操作変数),FF(フィードフォワード変数),および制約マトリックスを操作して,複数のCV(制御変数)を達成し,目的の動作限界を維持する必要があります。各制御変数を最適化してプロセスを必要な品質目標に近づけ維持することは非常に困難です。現場機器,センサー,レギュラトリー制御が正確に機能することが最も重要ですが,操業員が手動でプロセスを最適化することは現実的ではありません。例えば漂白設備では,プロセスの複雑な多変数の性質と,漂白工程からのデッドタイムによって導入される長い時間遅延のため,レギュラトリー管理を使用して継続的に最小限のコストで最終パルプの白色度目標値を達成することは困難を伴います。この課題を克服するために,高度な非線形制御プラットフォームであるMultivariable Advanced Control System(MACS)が実装され,工場に大きなコストダウンをもたらしています。MACSは動的プロセスモデルを使用して,パルプまたは製紙工程の特性に対するプロセス外乱の影響を明らかにし,これらの外乱を補償するために漂白薬品などを操作します。MACSは,フィードバック制御を介して測定されていない外乱を補正し,リアルタイムモデル適応を介して,さまざまなプロセス遅延と非線形プロセス応答曲線を考慮します。</p><p>モデル予測制御解決手法と最適化プログラムを組み合わせて利用することで,個々のユニット操作の最適化だけでなく,異なるユニット間の協調最適化も可能になります。これは,ボトルネックの最小化を必要とする生産の最大化から,全体的な生産コストを最小化する目標までの範囲に及ぶ設備からの変化する目標を検討する場合に特に重要です。MACSが実装されたほとんどの設備では,現在の市場の需要と運用コストに基づいて継続的に変化するこれら2つの目標のバランスが取れています。</p><p>現在,紙パルプ業界におけるこれらの解決手法であるソリューションの適応は,単一ユニットの最適化だけでなく,プロセス全体の最適化として見ています。MACSは,木材原材料の取り扱いから紙の仕上げ,およびユーティリティエリアまで,すべてのユニット操作を制御出来ます。</p><p>本論文では,クラフトプロセスの主要なユニット工程(蒸解釜,漂白設備,エバポレーター,回収ボイラー,ライムキルン,および苛性化)にMACSソリューションを実装するいくつかの工場のケーススタディに焦点を当てています。目的と制御戦略は工程の操作によって異なる場合がありますが,MV,CV,FFと制約の間の数学的相関関係を開発するという基本概念は,プロセスの将来の動作を予測するために開発されます。MACSモデルは,目標値プロセス条件内に留まる新しいプロセスのセットポイントを提供します。MACSは,すべての品質目標を重視して同時に数百の変数を処理し,プロセスを実行して最大化したコストダウンを維持します。</p>

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 75 (1), 55-63, 2021

    紙パルプ技術協会

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