変形性股関節症に対する最新の外科的治療
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- 岩田 憲
- 香川大学整形外科
抄録
<p> 2003年にGanzらによって提唱されたFemoro-acetabular impingement(以下FAI)が,従来は一次性変形性股関節症と考えられていた欧米の変形性股関節症の原因の一つと考えられるようになった。そのためFAIに対する治療が発展し,より低侵襲化し鏡視下手術が普及するきっかけともなっている。いっぽう本邦における変形性股関節症の原因のほとんどが発育性股関節形成不全(Developmental dysplastic hip:DDH)であるため,軽度の臼蓋形成不全の患者においてはその症状がDDHによるものかFAIによるのか判別が難しく混乱を招く状態となった。そこで日本股関節学会は2015年にFAIの診断指針を発表した。これによると</p><p>画像所見</p><p>・CE角25度以上</p><p>・Pincer typeのインピンジメントを示唆する所見</p><p> ① CE角40°以上</p><p> ② CE角30°以上かつ ARO0°以下</p><p> ③ CE角25°以上かつ Cross over sign 陽性・Cam typeのインピンジメントを示唆する所見</p><p> 主項目:α angle(55°以上)</p><p> 副項目:Head-neck offset(8mm未満),Pistol grip deformity,Herniation pit(主項目を含む2項目以上の所見を要する)</p><p>身体所見</p><p>・インピンジメントテスト陽性</p><p>・Patrickテスト(FABERテスト)陽性</p><p>・股関節屈曲内旋角度の低下</p><p>これらを満たす症例をFAIと診断し適切な治療を行うよう指針が示された。そこで本講演では実際の症例を交え診断と治療について解説していきたい。</p><p> いっぽうDDHに対する関節温存手術も手術支援ナビゲーションの普及とともに改善されつつある。従来関節温存のための骨切り術の成績は,術者の経験と技量に大きな影響を受けていたが,ナビゲーションシステムの使用により経験の少ない術者でも正確な骨切りが行えるようになり安定した手術成績が見込まれるようになってきた。我々の施設では2017年からCTベースのナビゲーションによる寛骨臼回転骨切り術を行っているが,ナビゲーション導入後の方がより骨切り術後の骨頭の内方化などにばらつきが少なくなった。本講演では実際の症例を交え最新の治療法について解説していきたい。</p><p> 近年minimally invasive surgery(以下MIS)の概念が股関節外科領域にも浸透しTHAにおいても様々な手技やアプローチ方法などがMISとして推奨されてきた。我々の施設においてもMISであるDirect anterior approach(DAA)を用いたTHAを行っている。DAAは従来行ってきたposterior approachと比べその侵襲の低さや合併症の少なさが際立っている。本講演ではいわゆるmuscle sparingと言われるDAAの筋組織への侵襲の少なさがどのように有用であるかを実際の症例を交えて講演していきたい。</p><p> 従来DDHによる股関節症は若年や青壮年期から発症することが多かったが,高齢化社会の伸展に伴い,近年は高齢発症の股関節症が目立つようになってきた。その一因として腰椎後弯変形に伴う臼蓋前方の被覆不良による変形性股関節症や軟骨下骨脆弱性骨折が考えられている。本講演ではこれらについても解説していきたい。</p>
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 47S1 (0), A-4-A-4, 2020
公益社団法人 日本理学療法士協会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390006065655099008
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- NII論文ID
- 130008010585
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可