ドクターカー運用実態調査による交通死亡事故に対する 対応可能率の推計

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  • Survey of doctor car operation condition and estimation of response rate for traffic fatalities in Japan

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抄録

わが国では、2018年より、先進事故自動通報システム(advanced automatic collision notification;AACN)の情報を活用し、ドクターヘリと連携させたD-Call Netの本格運用が開始された。しかし、D-Call Netは、ドクターヘリ基地病院を対象としており、ドクターカーのみを保有している病院への情報提供は行われていない。そのため、D-Call Netの情報提供範囲をドクターカーのみを保有している病院にも拡大することで、交通事故による死者数ならびに後遺症発生者数の削減効果が期待できる。 そこで本研究では、ドクターカーによる交通事故者に対する救命効果を正確に把握するため、全国のドクターカー運用実態調査と交通死亡事故に対する対応可能率を推計した。運用実態調査は、ドクターカー/ヘリを保有する医療機関へのヒアリングとインターネット、文献調査を用いて実施した。また、そこから得られた情報と全国市区町村の時間別交通死亡事故データを基に、ドクターヘリを含めた交通死亡事故に対するドクターカー対応可能率を算出した。 その結果、ドクターカーの保有が確認できた234施設中、157施設の運用時間が不明であり、休眠状態である可能性が示された。休眠状態の主な原因は、運用費と医師やドライバー等の人材確保であると考えられた。一方、交通死亡事故に対する現状のドクターカー対応可能率は5.7%であり、ドクターヘリの22.9%と比較して低いことが判明した。しかし、ドクターカー運用時間を24時間365日、保有病院を調査対象病院すべて(338施設)にすることによって、交通死亡事故に対するドクターカー対応可能率は45.1%まで向上すると推計され、ドクターカーはドクターヘリ以上の対応可能率を有する可能性があることがわかった。

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