UAV 空撮による全方位動画を用いた湿原植生調査法の開発と評価

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  • Development and evaluation of mire vegetation survey method using UAV equipped with omnidirectional video camera.
  • UAV クウサツ ニ ヨル ゼンホウイ ドウガ オ モチイタ シツゲンショクセイ チョウサホウ ノ カイハツ ト ヒョウカ

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抄録

<p>湿原は脆弱で減少が著しい生態系として位置づけられており,保全・維持のための植生モニタリング体制の強化が求められているが,湿原内部へのアクセスは容易ではなくデータの蓄積は遅れている.しかし,近年急速に普及した UAV や全方位動画カメラを利用することで,植生の超広角近接空撮が実現するため,これまで撮影不可能であった群落内部の画像が容易に得られる可能性がある.こうしたアプローチは,湿原内部へのアクセスを回避し,非侵襲的な植生モニタリング体制構築の有効な手段となりうる. これまで UAV と全方位動画カメラの組み合わせによる植生調査が行われた例はなく,利点や欠点に関する知見はほとんどない.本研究では,湿原植生を対象として, UAV 空撮による全方位動画および静止画を用いた種判別や被度判読,TWINSPAN による統計的植生分類を行い, UAV 空撮による全方位動画の有効性について議論した.別寒辺牛湿原のフェンおよびボッグを対象に計 27 定点を設定し,2 m 四方の植生調査枠にて地上での植生調査を行うとともに,同じ調査枠を対象に UAV を用いて群落表層での全方位動画と高度 2 m・5 m での静止画を撮影し,各画像を用いて PC モニタ上でそれぞれ植生調査を行った.種の発見率や被度の判読誤差は,全方位動画と 2 m・5 m 静止画の間で平均値に大きな違いは認められなかった.しかし,全方位動画では群落内部の中・高被度かつ小・中型の種群の発見率が他の手法と比較して高かったことから,TWINSPAN において地上調査データに基づく分類と最も類似した結果が得られた.一方で,全方位動画では群落表層での近接撮影に伴う撮影範囲の狭小化や,UAV の接近による風の影響で一部種群での発見率低下が生じた.さらに,全方位動画でさえも,草丈 10 cm 以下の種はほとんど発見できなかった.従って, UAV 空撮による全方位動画を植生モニタリングで活用するためには,これらの欠点の改善に加え,小型種の発見率をさらに向上させる必要があると思われた.</p>

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