山梨県富士河口湖町における少グループの野生ニホンザルによる人身被害の発生事例
書誌事項
- タイトル別名
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- Case of damages on human by a small wild group of Japanese macaques in Fujikawaguchiko Town, Yamanashi Prefecture, Japan
抄録
<p>2019年秋季、山梨県南都留郡富士河口湖町において、ニホンザルによる人身被害が発生した。被害を発生させているグループ(以下「船津グループ」と称す)は目撃情報から、オトナメス1個体、ワカモノオス1個体、性別不明のコドモ1個体の計3個体で構成されると推測され、そのうち人間に直接接触していたのは、オトナメス1個体のみであった。人身被害は、サルに噛まれたり背中に乗られたりするなど、人間に直接接触した被害が7件、人間を追いかけるなど接触を含まない被害4件が、10月21日~26日、11月18日~ 21日に発生し、人間が直接攻撃される攻撃は、オトナメスを捕獲した11月20日以降、発生していない。このことから、被害レベルが最も高い個体の捕獲により、「船津グループ」の被害レベルが低下したと考える。 また被害は、同町の船津地区と浅川地区のみで発生していることから、「船津グループ」は隣接する「吉田群」から分派した可能性が高い。「吉田群」が利用せず、「船津グループ」のみが利用するホテルの廃屋内にて、 2020年8月5日までサルが2か月に1回程度の頻度で、センサーカメラで撮影もしくは調査員に目撃されていることから、オトナメス捕獲後も被害がないものの、グループは存続していると考える。 本事案の発生要因として、1)2016年12年に浅川地区に大方囲い罠が設置され、無差別に「吉田群」のメンバーが大量捕殺されるようになり、群れの分裂が発生しやすい状況になったこと、2)2008年12月から「吉田郡」に対して行っていたモンキードッグによる追払いが、町役場の方針により発信器を装着したサルが捕殺対象となったことで、2012年8月には継続不能になり、その結果、サルが人里や人間を恐れなくなったことの2点が考えられる。</p>
収録刊行物
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- 霊長類研究 Supplement
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霊長類研究 Supplement 36 (0), 40-41, 2020
日本霊長類学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390006308199623168
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- NII論文ID
- 130008029215
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可