腹膜透析排液における培養陽性率向上に向けた取り組み

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  • Efforts to improve the percentage of cultures positive for microorganisms in peritoneal dialysis effluent
  • フクマク トウセキハイエキ ニ オケル バイヨウ ヨウセイリツ コウジョウ ニ ムケタ トリクミ

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抄録

<p>2013年4月から2019年12月の期間に腹膜透析(peritoneal dialysis; PD)関連腹膜炎と診断され,PD排液の細菌検査依頼があった55検体を対象に,塗抹検査の陽性率,2種類の培養法(血液培養ボトル法および,寒天平板培地法)を用いた培養陽性率の比較,分離菌の内訳について評価を行った。塗抹検査でのグラム染色陽性率は15件(27.2%),培養陽性率は血液培養ボトル法では45件(81.8%),寒天平板培地法では32件(58.1%)であった。分離された菌の内訳はグラム陽性菌31株,グラム陰性菌23株,真菌1株であった。また,2017年5月からPD排液検体の検体採取を看護師から臨床検査技師へと変更し,検体採取者変更前後の培養陽性率の変化について評価を行った。対象は変更前を2013年4月から2017年4月に提出された43検体,変更後を2017年5月から2019年12月に提出された12検体とした。変更前と変更後で培養陽性率はそれぞれ血液培養ボトル法で33件(76.7%),12件(100%)。寒天平板培地法で25件(58.1%),7件(58.3%)であった。臨床検査技師が検体採取を行い,血液培養ボトルで培養検査を実施することで,培養陽性率が向上することが示唆された。PD排液を用いた培養検査によって起炎菌を特定することは,適切な抗菌薬の選択に繋がるだけでなく,感染経路が推定できることから,患者教育において,バッグ交換手順の見直しや家庭環境,日常生活等の問題点の検討に有用である。</p>

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 70 (2), 336-343, 2021-04-25

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

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