「AI人材」育成の真価は課題設定能力

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  • シリコンバレーからAI革命の本質を踏まえて

抄録

日本ではAI人材の教育が注目されている。政府は「AI戦略2019」を発表し、一部の大企業もAI人材育成に力を入れ始めた。新型コロナウイルスによって世界経済が大不況に突入する2020年は、松下幸之助が「不況時こそ人材育成の好機」という言葉を残しているとおり、体力のある大企業にとって、人材育成に力を入れるタイミングだ。しかし、AI人材育成の取り組みは、「AI人材」に対する正しい理解がなければ多大なリソースの無駄となる。日本が最も必要なAI人材は、世界のトップ企業のように優れた基盤のAIツールを開発する人ではなく、AIツールを使いこなす「リードユーザー」となるための経営層と現場の従業員だ。そのためには、文系の人も理系の人も「課題設定能力」を身につけなければならない。「課題設定能力」とは、ペインポイント(課題)を、徹底的にユーザー目線で深掘りする能力である。では、「課題設定能力」をどう養うべきなのか。一つは、トップ大学が社会人向けの本質的な教育を企業相手に行っているExecutive Educationにより、外からみた視座、徹底したペインポイント発掘、そしてAI活用や基本的なデータサイエンス経営を学ぶことである。さらに、産学連携による共同研究や人材循環を通じ、トップ研究者に産業界の問題意識を共有させることで、意味のある価値を共に作り出せる可能性が高まる。政府や企業は、課題設定能力に重点を置き、「AIを活用できる経営人材こそ日本に必要なAI人材」という視座で人材育成に取り組むべきだ。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390006352515000448
  • NII論文ID
    130008030403
  • DOI
    10.50878/niraopinion.51
  • ISSN
    24362212
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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