P-2-E26 アルファカルシドールからエルデカルシトールへの変更に伴う高カルシウム血症の危険性

  • 竹内 元浩
    独立行政法人 国立病院機構 福井病院 小児科
  • 平城 直子
    独立行政法人 国立病院機構 福井病院 小児科
  • 平城 徹
    独立行政法人 国立病院機構 福井病院 小児科

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説明

はじめに 重症心身障害児(者)では、骨粗そう症に対してビタミンD製剤が広く使用されている。今回、われわれは従来より使われていたアルファカルシドールを、新しく開発されたエルデカルシトールに変更し、尿中および血清Ca値の変化を検討したので報告する。 方法 当院重症児者病棟でアルファカルシドール投与中の患者のうち、カプセル剤服用可能な患者をエルデカルシトール(エディロール®)に変更した。変更前後の尿中および血清Ca値の変化を検討した。 結果 20名の患者が対象となった。年齢33〜60歳(平均46.5歳)。大島分類1が7名、2〜4が6名、5以上が7名。変更前および変更後の尿中Ca/Cr比は平均0.28および0.32で有意差なし(p = 0.06)。血清Caは9.0から9.3mg/dlへと有意に上昇(p = 0.03)。2名は高Ca血症(10.8および11.5mg/dl)のため投与中止した。うち1名は高Ca性腎障害、食欲不振など明らかな臨床症状を呈した。 考察 エルデカルシトールは様々な骨代謝改善作用によって骨吸収を抑制する新世代の活性型ビタミンD製剤で、骨そそう症学会ガイドラインでも高い推奨度を得ている。アルファカルシドールより優れた骨折抑制効果を示す一方、副作用としての高Ca血症の発現率は増加しないとされている。しかし今回、アルファカルシドールからエルデカルシトールに変更した重症心身障害者20名での検討において、血清Caは有意に上昇し、うち2名は中止するに至った。エルデカルシトールは、新規に開始する場合のみならず、従来のビタミンD製剤から変更する場合でも高Ca血症の発現の可能性があり、尿中および血清Caのモニタリングを行うとともに、安易な変更には注意を要するものと考えられた。

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