国立病院機構所属の外科医に対する術前禁煙についての意識調査

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  • Attitude survey of surgeons affiliated with the National Hospital Organization on preoperative cessation of smoking

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抄録

要 旨<br> 背景と目的:喫煙が外科手術後合併症発生の危険因子であり、喫煙者に対する術前禁煙の意義を外科医が主体となって患 者に説明し、禁煙外来での治療へと導入していくべきと考えるが、十分な対応がなされているとは言い難い。また、外科 医が術前の禁煙治療についてどのような認識でいるのかも明らかではない。今回、国立病院機構に所属する各医療機関の 外科医が術前禁煙に対してどのような認識を持っているのかを調べるため、全身麻酔下の外科手術を行っている外科医師 に対して術前禁煙についてのアンケート調査を企画、実施したので報告する。<br> 対象と方法:国立病院機構には143の医療施設が所属している。外科手術を行っている91施設のうち、当院を除いた90施 設に所属する外科医に対して任意かつ無記名でWebアンケートへの回答を依頼した。<br> 結果:60名の外科医から回答を得た。38名(63.3%)の医師が、がん診療拠点病院に所属しており、48名(80%)が消化 器外科医で、一人あたりの年間平均手術件数は100件だった。所属施設に禁煙外来が開設されていると回答した医師は28 名(46.6%)で、外科外来患者の喫煙者割合は平均34.2%、外来患者に対して術前の禁煙を勧める医師は58名(96.7%) という回答結果であった。喫煙が術後合併症の危険因子という認識はすべての医師が持っていた。一方で、禁煙外来への コンサルトを行っている医師は8名(13.3%)にすぎず、日本麻酔科学会が作成した周術期禁煙ガイドラインについては 39名(65%)が知らないと回答していた。<br> 結論:受診患者の喫煙率が高く、周術期の禁煙は必要という認識があるにも関わらず、禁煙外来への紹介まで行っている 医師は13.3%でしかない。禁煙外来の普及率が50%未満と低いこと、周術期禁煙治療の認知度が低いことが原因として示 唆された。

収録刊行物

  • 禁煙科学

    禁煙科学 vol.12 (01), 1-6, 2018

    日本禁煙科学会

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