咽頭痛で初発し髄膜脳炎に至った帯状疱疹症例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of herpes zoster which onset was throat pain and subsequently developed meningoencephalitis
  • イントウツウ デ ショハツ シ ズイマク ノウエン ニ イタッタ タイジョウホウシンショウレイ

この論文をさがす

抄録

水痘・帯状疱疹ウイルス(Varicella-Zoster Virus:以下VZV)の再活性化により脳神経障害を呈する症例として,耳鼻咽喉科領域ではRamsay Hunt症候群で良く知られており,時に第Ⅶ脳神経障害以外の下位脳神経障害を呈することも報告されている.しかし,発症が咽頭炎のみで重症化した症例の報告は少ない.今回我々は,初診時咽頭炎のみを認め,汎発性帯状疱疹を呈し加療されたにもかかわらず,多発脳神経障害をきたした帯状疱疹性髄膜脳炎の1例を経験したので報告する.<br>症例は69歳の男性.6日前からの咽頭痛を訴えて来院した.咽頭の左側に水疱性粘膜疹を認め,水痘帯状疱疹咽頭炎と診断した.脳神経障害はなかったが,左耳介と外耳道にも水疱性粘膜疹があった.入院の上,減圧室管理で1日当たり1,500mgのAcicrobilを7日間投与した.入院6日目に左声帯麻痺が生じ,7日目以降からⅦ,Ⅸ,ⅩおよびⅪ脳神経麻痺も出現した.脳脊髄液検査の結果,VZV髄膜脳炎と診断され,1,000mgのMethyl prednisoloneを3日間,1,500mgのAcicrobilを14日間投与した.入院後41日目には全身状態が回復し,左顔面神経および副神経麻痺は残存したが,退院となった.

収録刊行物

  • 口腔・咽頭科

    口腔・咽頭科 33 (2), 111-117, 2020

    日本口腔・咽頭科学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ