日本古代における日蝕予報

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タイトル別名
  • The Solar Eclipse Prediction in Ancient Japan

抄録

古代日本においては、日蝕を忌避することに昼夜は関係しない、という時間観念があった。日没のため実際に観測できない場合であっても、日蝕とみなされて朝廷政務は止められたのである。つまり、日蝕記事のなかに日本から観測可能であったものが少ないのは、暦官らが誤算を犯したからではなく、はじめから観測できることを想定していないものまで「夜蝕」として予報していたからであった。  このことを踏まえて記事を分析していくと、10世紀までの日蝕予報と暦官らの技能は、次のようにまとめられる。8世紀から9世紀中葉にかけては、予報に誤算がみられないことから、ときの暦官らは的確に計算を進められるだけの技能を有していたことがわかる。しかし宣明暦施行後は、日本に伝えられた暦本に漏れがあったことも影響し、的中率が大幅に低下した。このときに予報精度をしばらく改善することができなかったのは、唐から伝えられた暦術をひたすら墨守しようとする、彼らの姿勢の表れであろう。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390006895526392448
  • NII論文ID
    130008052274
  • DOI
    10.20740/timestudies.11.0_19
  • ISSN
    2424208X
    18820093
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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