胆管胸腔瘻による膿胸に対して局所麻酔下胸腔鏡が有用であった1例

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  • A Case of Empyema Caused by Biliopleural Fistula Improved Using Thoracoscopy Under Local Anesthesia

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抄録

<p>背景.経皮経肝胆管ドレナージ(percutaneous transhepatic biliary drainage:PTBD)後の合併症としての胆管胸腔瘻は稀な合併症である.治療法は胸腔ドレナージや外科的掻爬・瘻孔閉鎖術が報告されているが,局所麻酔下胸腔鏡による治療報告は極めて少ない.症例.89歳男性.十二指腸乳頭部腫瘍による閉塞性黄疸で胆管ステントを留置されていた.胆管ステント閉塞による急性胆囊炎・胆管炎のため入院した.PTBDを施行して3日後に発熱し,胸部X線写真で右に大量の胸水貯留を認め,胸部CT検査ではドレナージチューブが胸腔内を貫通していることが確認された.試験的胸腔穿刺で胆汁様胸水を認め,培養検査でEnterococcus faecium,Pseudomonas aeruginosaを検出し,胆管胸腔瘻による膿胸と診断した.局所麻酔下に右胸腔に胸腔鏡(LTF-240)を挿入し,胸腔内のフィブリンにより形成された隔壁を掻爬し,胸腔ドレーンを挿入した.胸腔ドレナージや抗菌薬の投与で膿胸および胆管炎は改善傾向であった.さらに後日,PTBDカテーテルを抜去し,局所麻酔下胸腔鏡で右横隔膜瘻孔閉鎖術を試みた.結論.高齢,担癌などにより全身状態が不良であり,全身麻酔も含めて侵襲性の高い外科的処置が困難と判断された胆管胸腔瘻による膿胸に対して,局所麻酔下胸腔鏡による治療の有効性が示唆された.</p>

収録刊行物

  • 気管支学

    気管支学 43 (3), 272-277, 2021-05-25

    特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会

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