人工知能を用いた温泉療法の健康効果の検証とヘルスケアの個別化の実現化

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タイトル別名
  • Integration and systematization of clinical evidence for onsen therapy by utilizing artificial intelligence
  • ジンコウ チノウ オ モチイタ オンセン リョウホウ ノ ケンコウ コウカ ノ ケンショウ ト ヘルスケア ノ コベツカ ノ ジツゲンカ

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抄録

<p>背景・目的 メタボリックドミノは世界における重大死因に係る生活習慣病の共通経路であり、その進展要因とされている食生活や運動習慣が与える影響を明らかにする必要がある。本研究の目的は、人工知能による臨床エビデンスの統合と体系化を実現するため、各個人の生活情報や他のバイオマーカーなどの膨大な個人情報から、人工知能を用いて統合解析を進めることである。本研究では、1)ヘルスケアの個別化アプローチとして、入浴、特に温泉療法を促すことで、将来の死亡率や種々の致死的疾病リスクを下げることができる個人(集団)を人工知能で特定する。すなわち、この個人(集団)を特定することで、現在温泉に入る習慣のない人に対し、温泉による健康効果を具体的に提案できる。また、2)ヘルスケアの集団的アプローチとして、診療ガイドラインの礎であるシステマティックレビューの自動化を目標とし、温泉療法の過去の臨床知見の統合を目的とする。</p><p>方法 1)のヘルスケアの個別化アプローチとして、米国健康データを用いた解析を行った。2)のヘルスケアの集団的アプローチとしては、すでに出版済みの系統的レビューについて検討を行った。</p><p>ニューラルネットワークを介した人工知能は、文章を読んだ人が重要だと判断する暗黙の基準を学習(ディープラーニング)し、多数の文書からその基準に沿ったものを抽出できる。教師データを学習する際に、教師データに含まれる単語ごとに教師データとの関連性と単語同士のつながりに関して伝達情報量を通して数値化し、ニューラルネットワークを介し、特徴量として利用し、これを用いた。</p><p>結果 1)のヘルスケアの個別化アプローチとして、米国健康データの温泉入浴に関連した項目に関して解析を行った。ニューラルネットワークとロジスティックスモデルの両者の検討においても、本コホートにおいては、入浴習慣の全死亡に与える影響は有意でなく、死亡リスクが低下する集団の特定には至らなかった。一方、2)のヘルスケアの集団的アプローチにおいては、ディープニューラルネットワークベースの機械学習により、系統的レビューのスクリーニング作業負荷が軽減されたことを報告した。</p><p>考察 1.データ収集とデータ蓄積、2.データ前処理・学習・推論エンジン生成、3.開発・実行・モニタリング研究を進めていく。</p>

収録刊行物

  • 日本健康開発雑誌

    日本健康開発雑誌 42 (0), 94-104, 2021-06-16

    一般財団法人 日本健康開発財団

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