より生理的なペーシング─恒久ヒス束ペーシング・左脚領域ペーシング─

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<p>ペースメーカ治療として従来右室ペーシングが施行されてきた。現在,ヒス束や左脚を直接捕捉し,刺激伝導系のネットワークを介して左室心筋の早期同期興奮を可能とする,より生理的なペーシング方法が注目されている。恒久ヒス束ペーシングの有用性は2000年に初めて報告され,心室ペーシング依存例では右室ペーシングと比較し,心不全入院及び死亡率を低下させる可能性がある。植込み時の捕捉閾値高値と,術後の閾値上昇によるペーシング不全が課題である。杏林大学病院では2016年より国内では先駆けて,恒久ヒス束ペーシングを開始した。当院における徐脈性不整脈51例に対する初期成績では,リード留置は43例(84%)で成功し,リード留置後深い陰性ヒス束電位が記録されると術後1年間良好なヒス束捕捉閾値が維持された。さらに右室側遠位ヒス束ペーシングにより,近傍心室閾値は術後も低く維持され,リード再留置予防のために有用であると報告した。2021年本邦のガイドラインでは,恒久ヒス束ペーシングの適応として,房室伝導障害患者で,高頻度の心室ペーシングが予測され,中等度の左室収縮機能低下を認める場合をクラスIIaとして,左室収縮機能低下を認めない場合はクラスIIbとして推奨している。今後は左脚領域ペーシングを含めた刺激伝導系ペーシングが,心臓再同期療法の代替療法として,慢性心不全の治療選択肢となることを期待する。</p>

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