環境問題に関する協同的な学びの場における個の学び : 中学校の「総合的な学習の時間」を通して

書誌事項

タイトル別名
  • The Understanding of Environmental Problems through the Study of Cooperation
  • カンキョウ モンダイ ニ カンスル キョウドウテキ ナ マナビ ノ バ ニ オケル コ ノ マナビ チュウガッコウ ノ ソウゴウテキ ナ ガクシュウ ノ ジカン オ トオシテ

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説明

<p>「総合的な学習の時間」は、生きる力を培う上で重要な役割を担う学習活動の機会である。環境問題はいずれの学校段階でも「総合的な学習の時間」の課題として重視されているが、学習・教授上の難しさをもつ学習課題でもある。本論文では、これらを踏まえて中学校第3学年の「総合的な学習の時間」向けにカリキュラムを開発した。カリキュラムの特徴は、学習活動にコンセプトマップ法を導入した点、及び子どもが身近な環境を対象とした実験・調査を自ら考え、研究活動を実践できるよう複数の教師による専門的な学習支援を行った点である。平成14年度より4年間にわたり湘南白百合学園中学校の第3学年の「総合的な学習の時間」において、「環境問題」を大きなテーマとした学習を行う際に本カリキュラムを用いた学習効果について報告する。子どもが研究活動をまとめた論文や学習活動を振り返って子どもが記述した感想からは、子どもが教師の支援を受けながら身近な環境について実際に調べたことで自分たちと環境問題とのつながりについて実感を伴った理解をした様子や、今後の主体的な活動につなげていこうとする姿勢が見られた。子どもが作成したコンセプトマップからは、学習活動を進める過程で、子ども自身が研究課題となる環境問題と自分との密接な関係の認識を深めたことが分かった。また、子どもが自由記述した文章からは、コンセプトマップの作成が、ほとんどの子どもに概念の再構築に関するメタ認知を促し、研究活動に向けた意欲の向上や、協同的な学びの場での知の共有化、学習活動の成果の自己評価につながることを示した。このように、コンセプトマップ法により個の学びと協同的な学びを結びつけ双方を促進させること、及び、教科に根ざした知識や技能の習得に重点を置きながら体験的および問題解決的な学習を行い、探究活動に主体的に取り組む態度を育てることは、平成20年に改訂された新しい学習指導要領のねらい1)にも合致し、今後の教育実践の場においても有効であるといえる。</p>

収録刊行物

  • 理科教育学研究

    理科教育学研究 51 (3), 189-199, 2011-03-10

    一般社団法人 日本理科教育学会

参考文献 (27)*注記

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