足病治療における倫理的葛藤とその解決に向けた方策

DOI
  • 恋水 諄源
    市立福知山市民病院形成外科 京都府立医科大学外科学形成外科学部門

書誌事項

タイトル別名
  • Ethical Dilemmas and Solutions in the Treatment of Foot Disease

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抄録

<p> 足病診療においては,「治る見込みが薄くても,足は切断しないで欲しい」という患者の強い希望にしばしば遭遇する。その希望が医学的に実現困難であったとしても,医療者が現実的な治療法を強制することはできず,医療者は本人の意向と医学的適応の間で板挟みになる。このような状況をどのように受け止め解決していくべきだろうか。<br> 本稿では,仮想事例として「少しでも長く足を残す治療をして欲しい」と希望する虚血肢患者を取り上げ,生命倫理四原則に沿った倫理的検討を行う。本事例では,無危害原則と善行原則の両方が自律尊重原則と対立し,原則を適応するだけでは結論に至らない。より実践的な方策を見出すには,患者の価値観を繰り返し問うとともに医療者の価値観を問い直し,真に患者の Well-being を中心に置いた選択肢を考える必要がある。加えて,足病治療に関するエビデンスの蓄積,社会制度設計に貢献するための長期的・巨視的視野が必要となる。</p>

収録刊行物

  • 創傷

    創傷 12 (3), 133-140, 2021

    一般社団法人 日本創傷外科学会

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