失音楽症からみた音楽の脳内認知過程
-
- 佐藤 正之
- 東京都立産業技術大学院大学認知症・神経心理学講座
書誌事項
- タイトル別名
-
- Music processing in the brain: perspectives from cases with amusia
この論文をさがす
説明
<p>失音楽症の自験2例に対し音楽能力の検査を行い,音楽認知の脳内機構について考察した.症例1は70歳代の女性.両側側頭葉前部の梗塞により,和音弁別の障害と童謡の歌唱の際の旋律の入れ替わり(錯メロディ,paramelodia)を呈した.楽曲の和声分析の結果から,歌唱の際にヒトは先行する4小節もしくは1フレーズの和声進行をもとに,続くメロディを記憶から想起していることが示唆された.症例2は60歳代,男性.両側側頭葉の梗塞の結果,広義の聴覚性失認と表出性失音楽を生じた.音楽の受容系と表出系との離断(伝導性失音楽,conduction amusia)のために歌唱の調節が出来なくなったと思われた.過去の失音楽症例のレビューでは,音楽認知の責任病巣として右側頭葉の皮質・皮質下があげられている.今後は,脳賦活化実験の結果との照合・統合をさらに進めていく必要がある.</p>
収録刊行物
-
- 神経心理学
-
神経心理学 37 (2), 106-116, 2021-06-25
日本神経心理学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390007282526015488
-
- NII論文ID
- 130008065748
-
- ISSN
- 21899401
- 09111085
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可