MPA療法後の妊娠についての後方視的検討

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  • Retrospective study about reproductive outcomes after MPA therapy
  • MPA リョウホウ ゴ ノ ニンシン ニ ツイテ ノ コウホウ シテキ ケントウ

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抄録

<p>子宮内膜に限局した類内膜腺癌 Grade 1(endometrioid adenocarcinoma G1;EC G1)もしくは子宮内膜異型増殖症(atypical endometrial hyperplasia;AEH)の患者に対する妊孕性温存としてMPA療法がある.しかし,MPA療法後の管理に関しては十分なエビデンスが蓄積されているとはいい難い.1993年12月から2020年9月までに,当院でMPA療法を施行した57症例の妊娠について,後方視的に検討した.病理学的診断は,EC G1は30例,AEHは27例であった.MPA療法の完全奏効は48例(84.2%)で,再発は28例(49.1%),子宮摘出術は28例(49.1%)に行った.MPA療法後の観察期間の平均値は91カ月で,原病死は認めていないが2例に進行を認めた(ともに手術進行期分類はIIIC2期).妊娠を試みた32症例のうち,13症例が妊娠成立し(40.6%),17人の生児を得た.妊娠した13症例のうち,10例(76.9%)で不妊治療を要し,生殖補助医療を要したのは5例(38.5%)であった.妊娠に至った完全奏効例でも41.7%に再発をきたし,また再発までの期間が約2年であった.MPA療法後に13例(40.6%)で妊娠成立し,MPA療法は妊孕性温存に有用であることが示唆されたが,妊娠が成立した症例の76.9%が不妊治療による妊娠例であった.奏効確認後は早期の妊娠を目指す必要があると考えられた.〔産婦の進歩73(3):185-190,2021(令和3年8月)〕</p>

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