アスコルビン酸溶液抽出法による水田土壌可給態窒素の迅速評価法の検討

  • 東 英男
    富山県農林水産総合技術センター 千葉大学大学院園芸学研究院
  • 犬伏 和之
    千葉大学大学院園芸学研究院

書誌事項

タイトル別名
  • Improving the rapid estimation of available nitrogen extracted from soils with an ascorbic acid solution
  • アスコルビンサン ヨウエキ チュウシュツホウ ニ ヨル スイデン ドジョウ カキュウタイ チッソ ノ ジンソク ヒョウカホウ ノ ケントウ

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抄録

<p>水田土壌の可給態窒素は土壌から供給される窒素の潜在量を表しており,また,湛水培養時の還元の影響による窒素の無機化の違いは,土壌毎に異なる可能性があることから,既存の可給態窒素の迅速評価法の抽出窒素量を用いた土壌からの窒素供給量の推定は難しいと考えられた.そこで,可給態窒素と相関が高く,窒素供給量の推定にも活用できる手法として,畑土壌の可給態窒素迅速評価法の80°C 16時間水抽出法を基に還元の影響を加味した手法について検討した.水稲収穫後の富山県内の11圃場の風乾土を用いて,抽出温度を50, 60, 80°Cの3水準,抽出液に添加する還元剤のアスコルビン酸(AA)濃度を0, 0.01, 0.1, 1% (W/V) の4水準設定し,抽出液中の全窒素(TN)と可給態窒素を比較した.その結果,抽出温度50°C, AA濃度0.1%の際の相関係数が最も高かった(r=0.98, p<0.01).抽出温度に関わらず0.1%AA溶液抽出鉄量と湛水培養後の抽出鉄量には正の相関があり,0.1%AA溶液抽出により,いずれの供試土壌でも可給態窒素量に対して同じ割合のTN量が抽出された.また,抽出温度50°Cの同手法の抽出TN量から求めた推定窒素供給量と施肥窒素量の合算値と水稲「コシヒカリ」の窒素吸収量には正の相関関係があった.以上のことから,50°C 16時間0.1%AA溶液抽出TN量で可給態窒素量を迅速に評価できる可能性が示唆された.</p>

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