飲料水を介した農薬のヒトへの安全性評価
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- 杉山 亨
- 日産化学株式会社
書誌事項
- タイトル別名
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- Pesticide safety assessment through drinking water in humans
抄録
<p>ヒト(消費者)への農薬の曝露には、作物、畜産物及び飲料水を介した3つの経路がある。作物及び畜産物を介した経路では、曝露量は作物残留試験及び家畜残留試験をもとに推定し、そのリスク評価は一日摂取許容量(ADI)との比較により実施される。一方、飲料水を介した経路では、環境中に散布された農薬が地表流出や地下浸透などにより河川あるいは地下水へと流入した後、ヒトに曝露することから、飲料水の安全性評価は地域性、土壌条件、気象条件などの環境要因の影響を受ける。</p><p>飲料水を介した曝露評価については、日米欧ともに試験負荷及びコストの低減を図るため、段階性評価が採用されており、シミュレーションモデルによる環境中濃度の予測に始まり、高次段階へと進むと実環境に近いシミュレーション試験を実施し、最終的には野外モニタリング試験により曝露量を精緻化する。しかし、シミュレーションモデルは日米欧の環境要因を考慮した独自のものが運用されている。また、段階性評価についても日米欧で異なる評価プロセス・精緻化手法を採用し、それぞれ異なる評価スキームに沿って曝露量が精緻化される。さらに、飲料水を介したリスク評価については、日本では【ADI×10%】と【飲料水の曝露量】の比較、米国では【ADI】と【農畜産物・飲料水の曝露量の合算値】の比較、欧州では毒性試験の結果に関わらず一律で【0.1 μg/L】と【飲料水の曝露量】の比較により、日米欧で異なる基準で実施されている。</p><p>このように飲料水を介した農薬のヒトへの安全性評価は、作物及び畜産物とは異なり、それぞれの国や地域に適合した条件で実施され、その安全性が担保されている。本講演では日米欧における飲料水を介した農薬のヒトへの安全性評価制度の違いを解説する。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 48.1 (0), S17-3-, 2021
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390007536268957440
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- NII論文ID
- 130008073957
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可