「心的対応原理」の背景に基づく鏡元型による共時性のメカニズムを理解するための図解的アプローチ

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  • A Graphical Approach to Understanding a Mechanism of Synchronicity by Mirror Archetype against the Background of the Psychic Correspondence Principle

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抄録

<p>本研究で、河合隼雄によって描かれた2つの図を糸口にして、図解的な手法を用いて、共時性のメカニズムを探究し、その新しい一面を覗いてみる。この目的を遂行するために、自然に存在する「心的対応原理」を発見論的に仮説として導入し、物理的世界から心的世界に対応する図を探し、その図の背景となるメカニズムから、逆に心的世界の出来事を推察するという新たな手法を用いて解析を行った。まず、河合が治療に用いる手法が共時的なものであることを指摘した。そのような治療の様子が、1つの図として実にうまく表現されているからである。そこで、その妥当性あるいはもっともらしさの検証が、河合の象徴的な図と物理的世界において採用されている非常に有益な実験系とに成立していると思われる対応関係を慎重に精査することによって行われた。第2の図として、イラ・プロゴフが共時性を説明したことを河合が1枚の図で現わしたものがある。この河合ダイアグラムと(素粒子論で重宝する)ファインマンダイアグラムとの間に対応関係があることを仮定し解析することによって、共時性の新たな一面が抽出された。この際、心的な鏡(鏡元型)を含むスダダイアグラムを介して河合およびファインマンダイアグラムの統合が試みられた。ここで採用した対応原理は言うまでもなく絶対的に成立するというものではないので、還元的な研究を超えて、エッセンスを理解するために、臨床事例との一致度を検討し、その妥当性の検証を慎重に行った。ここで重要なポイントは、量的な理解ではなく、むしろ質的に理解するという点にある。本研究の主要な結論として、「身体」によって現われた「場」が粒子のようなイメージ(すなわち意味)を生成する可能性が示唆され、身体の興味深い役割として、精神と物質とは、(光の二重性のごとく)身体と切れ目なく連続しており、それらの間に「インターフェイス」のような機能を果たしていることが示された。</p>

収録刊行物

  • 人体科学

    人体科学 30 (1), 25-39, 2021-08-01

    人体科学会

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