日本で飼育されているテナガザルの ミトコンドリアDNA(cytochrome b 遺伝子)による種判定

書誌事項

タイトル別名
  • Species Identification of Captive Gibbons in Japan by Using Mitochondrial DNA (cytochrome b) Sequences
  • ニホン デ シイク サレテ イル テナガザル ノ ミトコンドリア DNA (cytochrome b イデンシ)ニ ヨル タネ ハンテイ

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説明

<p>東南アジアとその周辺に生息するテナガザルは,およそ20に及ぶ多くの種に分類されている。日本の動物園・研究機関で飼育されているテナガザルは,公益社団法人日本動物園水族館協会のテナガザル国内血統登録台帳に登録されているが,過去の外見のみに基づく種判定の曖昧さや,近年の分類体系の大きな変更に伴い,種登録情報の更新が待たれていた。本研究は,客観的に評価が可能な遺伝情報を用いて種を同定し,登録情報の更新を行うことを目的とした。具体的には,153個体を対象にミトコンドリアDNAのcytochrome b遺伝子の配列(1,140塩基対)を決定し,テナガザル各種の参照配列との類似度に基づき,種を判定した。また,配列決定ができなかった14個体については,上記153個体との血縁関係などから,種を判定した。その結果,特にボルネオ島・スマトラ島に生息するHylobates属の個体の種の登録情報に更新が行われた。また,Hylobates属の4個体については,参照配列に類似の配列がなく,他の遺伝マーカーの利用の必要性が示唆された。登録情報の更新に従い,フクロテナガザル,シロテテナガザル,ボウシテナガザルの飼育個体群は今後も維持が可能である一方,その他の種は,個体数が少なく,個体群を維持していくことが困難であると示唆された。更新された登録情報が,今後の飼育管理・繁殖計画に利用されていくことが期待される。</p>

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