ASD児における自己刺激行動と同様の感覚を産出する玩具の好みと強化価に関する検討

書誌事項

タイトル別名
  • Assessing Preferences for Toys and the Comparative Reinforcing Efficacy of Preferred Toys: Children Exhibiting Stereotyped Behavior
  • ASDジ ニ オケル ジコ シゲキ コウドウ ト ドウヨウ ノ カンカク オ サンシュツ スル ガング ノ コノミ ト キョウカカ ニ カンスル ケントウ

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抄録

<p>研究の目的 本研究は自己刺激行動を活用した玩具の好み(研究Ⅰ)、および、食べ物と比較した場合の玩具使用の強化価(研究Ⅱ)を検討した。研究計画 研究Ⅰでは、自己刺激行動と同様の感覚刺激を産出すると推測される玩具の好みのアセスメントを実施した。研究Ⅱでは、ボタン押し行動の強化子として、研究Ⅰで選定した自己刺激行動を活用した玩具を用いる条件と食べ物を用いる条件を比較した。場面 大学の遊戯室で行った。参加児 自閉スペクトラム症児3名とCARSにおいて“重度自閉症”の得点の範囲にあった1名であった。独立変数の操作 自己刺激行動で同定された感覚刺激(研究Ⅰ)、自己刺激行動を活用した玩具の強化子と食べ物の強化子の提示(研究Ⅱ)であった。指標 質問紙得点と玩具の選択数(研究Ⅰ)、ボタン押しの回数と比率累進スケジュールのブレイクポイント(研究Ⅱ)であった。結果 研究Ⅰでは、4名中3名の参加児において、選択数が最も多かった玩具の質問紙得点は最大値をとるという結果になった。研究Ⅱでは、研究Ⅰに参加した2名において、自己刺激行動を活用した玩具使用よりも食べ物でボタン押しの回数、ブレイクポイントが多いという結果になった。結論 強化価がお菓子より低いと推測されるものの、自己刺激行動を活用した玩具使用は強化子として利用できる可能性が示唆された。今後は、自己刺激行動を活用した玩具使用を強化子として設定し、課題中の自己刺激行動の生起に与える影響を検討する必要がある。</p>

収録刊行物

  • 行動分析学研究

    行動分析学研究 35 (1), 11-20, 2020-08-20

    一般社団法人 日本行動分析学会

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