農牧複合地帯における農業経営の展開と草原生態保護補助奨励制度の役割

書誌事項

タイトル別名
  • Agricultural Management in the Agro-pastoral Areas and Functions of Grassland Ecological Protection Subsidy Award System
  • 農牧複合地帯における農業経営の展開と草原生態保護補助奨励制度の役割 : 中国内モンゴル自治区赤峰市バイリン右旗C村を事例に
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  • ‐中国内モンゴル自治区赤峰市バイリン右旗C村を事例に‐

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説明

<p>中国の市場経済の発展・所得増加により農畜産物の需要が増加し,また価格上昇もあったことで農家の家畜飼養頭数は増加してきた.そのため,2011年から「草原生態保護補助奨励制度」政策が実施された.</p><p>本稿では畜産を中心とした農牧複合地帯の内モンゴル自治区赤峰市25戸の農家を対象に,聞き取り調査により収集した資料を分析した.まず,農牧経営について,経営規模の基礎となる土地面積が固定化される.現在実施されている奨励制度による補助は,面積が基準になることが多く,土地面積と補助額との関連が大きい.家畜の飼養頭数は「草原生態保護補助奨励制度」の実施に関わらず2010年に比べて牛と羊はそれぞれ243頭から309頭,923頭から1,005頭まで増加した.次に,環境保護目的の禁牧は3ヵ月間放牧を禁止するが,実際にはその期間も放牧が行われることが依然としてある.調査対象の合計でみた放牧密度は当地で草地の植生に影響を与えないという適切な密度と言われている羊1頭/10ムーより高く,2.0頭であり過度放牧となっている.今後は農家の環境保全意識の向上,飼料生産を進め,畜舎飼養に有利な条件を作ることが過放牧の解消につながる.草原生態保護補助奨励制度の補助金は農家総所得の28%を占め,所得確保に大きな役割を果たしていると言える.</p><p>今後の生態保護に関しては,政府の財政にも限りがあるため,農家の損失を十分補てんできる補助金制度の実施可能性が低い.このような財政的制約の下で制度の目的である草地負荷の軽減と農牧経営の発展を両立することが今後の政策・方針の課題となる.</p>

収録刊行物

  • 農村経済研究

    農村経済研究 37 (1), 49-57, 2019-07-01

    東北農業経済学会

参考文献 (1)*注記

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