日本における減損会計に関する実証分析

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タイトル別名
  • An Examination of Impairment of Assets : Evidence from Japan
  • ニホン ニ オケル ゲンソン カイケイ ニ カンスル ジッショウ ブンセキ

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抄録

本稿は「固定資産の減損に係る会計基準」に関する議論に寄与することを目的に,企業が計上する減損損失の特質に関する定量的分析を行ったものである。まず,企業が計上した減損損失の計上要因を「経済的要因」と「報告インセンティブ要因」に分け,そのうえで,基準が強制適用された後の2007~2010年の4 年間をサンプルとし,トービット回帰による分析を行った。その結果から,企業が計上した減損損失には,企業を取り巻く経済的な要因が適切に反映されていることがわかった。しかし,それらをコントロールした上でも,経営者交代や債務契約,目標利益達成といった報 告インセンティブと関連のある要因が有意となり,また経営者による利益平準化およびビッグ・バス行動が行われている可能性が高い証拠も得られた。これらのことから,企業が計上した減損損失には,当該固定資産の収益性と関連の深い「経済的要因」が反映されているが,経営者の裁量等の「報告インセンティブ要因」が入り込んでいることが考えられる。なお,今回の分析結果はいくつかの先行研究で提示または示唆された内容と首尾一貫しているが,本稿には,分析課題の明確化,サンプル期間の工夫,個々の変数の工夫において,独自な貢献が見られる。

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