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- 張本 研吾
- Asst. Prof. Mahidol University, Ph.D.
書誌事項
- タイトル別名
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- Was the <i>Prajñāpāramitāhṛdaya</i> Composed in Sanskrit?
- Was the Prajnaparamitahrdaya Composed in Sanskrit?
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説明
<p></p><p>Nattier 1992は『般若心経』は中国撰述であり,サンスクリット版はそれからの訳であると提唱した.その議論の強みは以下の点にある.漢訳を見ると『心経』は『大品般若経』の一部を使っているように見える.しかし梵語で見るとその両者は著しく異なる.特に,梵語『心経』の簡潔さは,その点で羅什訳『摩訶般若波羅蜜經』と同じである.そこでNattier 1992が提唱するのが『心経』はまず漢訳が先にあるというものである.</p><p>羅什訳『摩訶般若波羅蜜経』を,当該箇所に関し,それに先立つ二漢訳と比べてみると,どれも同じレベルの簡潔さを示す.さらに,後続する訳が先行する訳を参照しているようには見えず,どれも独立して訳していると思われる.つまり,『心経』の簡潔さに関し,羅什訳『摩訶般若波羅蜜経』の介在を想定する必要はなかろうということになる.『心経』の「核」となる部分は直接インド語の『大品般若経』から持ってこられたのであろう.さらに細部を見てみると,梵文『心経』にはそもそもガーンダーリーのような中期インド語であったテキストを言語的のみならず哲学的にも向上させようとした跡が窺われる.これが段階的に行われたというよりは『心経』は,その成立時に梵語として発生したと考えるのが良いように思われる.</p>
収録刊行物
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- 印度學佛教學研究
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印度學佛教學研究 69 (3), 1038-1044, 2021-03-25
日本印度学仏教学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390007827783892736
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- NII論文ID
- 130008085275
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- NII書誌ID
- AN00018579
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- ISSN
- 18840051
- 00194344
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- NDL書誌ID
- 031423289
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- NDLサーチ
- Crossref
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可