HIF-PH阻害薬が切り拓く新しい腎性貧血治療

  • 南学 正臣
    東京大学大学院医学系研究科 腎臓・内分泌内科

書誌事項

タイトル別名
  • Future perspectives of treatment for anemia in chronic kidney disease (CKD) using hypoxia-inducible factor prolyl hydroxylase inhibitors
  • HIF-PH ソガイヤク ガ キリ ヒラク アタラシイジンセイ ヒンケツ チリョウ

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説明

<p>低酸素誘導因子(hypoxia-inducible factor, HIF)は低酸素状態に対する適応応答を司り,様々な低酸素に対する適応応答を誘導する。HIFの主要なターゲット分子としてエリスロポエチンがあり,赤血球を増やすことで臓器への酸素供給を促す。HIFの分解はHIF-PHが司っており,HIFを活性化するHIF-PH阻害薬は腎性貧血の新しい治療薬として期待されている。また,慢性腎臓病の進展のfinal common pathwayとして腎臓の慢性低酸素が重要であり,心血管系合併症においても臓器の低酸素が重要である。HIF-PH阻害薬にはVEGF産生の刺激などによる理論的注意点もあるが,低酸素に対する臓器保護も期待される。2019年にはHIF/HIF-PHによる低酸素応答機構を解明した三人の研究者がノーベル医学・生理学賞を受賞しており,関連する酸素生物学は世界的にも注目されている分野である。</p>

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 62 (8), 938-943, 2021

    一般社団法人 日本血液学会

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