髄膜炎を合併した帯状疱疹の 1 例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Herpes Zoster Complicated with Meningitis

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説明

<p>70歳,男性。左大腿,臀部に皮疹が出現し前医を受診したところ,紅斑や小水疱が多発しており帯状疱疹の診断のもとファムシクロビル投与が開始された。その 4 日後に頭痛,嘔気,微熱を認め精査加療目的に当科紹介受診となった。初診時,T h10-L3 領域に疼痛と瘙痒を伴う小水疱が集簇する暗赤色斑が帯状に存在するほか,頸部や体幹にも小水疱を認め,汎発性帯状疱疹の診断のもと即日入院となった。頭痛,嘔気,微熱に関しては帯状疱疹による髄膜炎の可能性を考え,同日神経内科コンサルトを行い髄液検査などの精査から水痘・帯状疱疹ウイルスによる髄膜炎との確定診断に至った。アシクロビルの倍量投与を行ったところ頭痛,発熱,嘔気や発疹の症状は著明に改善し入院後17日で退院となった。帯状疱疹に起因する髄膜炎の合併は比較的まれであるが,帯状疱疹の治療開始後に頭痛,嘔気,37°C 以上の発熱という 3 徴があれば髄膜炎を考慮し内科への早急なコンサルトが必要である。また帯状疱疹髄膜炎に関して詳細にまとめた報告はなく具体的な頻度も不明であるため今後も症例の集積が望まれる。 (皮膚の科学,20 : 128-133, 2021)</p>

収録刊行物

  • 皮膚の科学

    皮膚の科学 20 (2), 128-133, 2021

    日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会

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