当施設におけるアルコール性肝硬変に対する生体・脳死肝移植の長期成績と再飲酒症例の検討

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説明

<p>【目的】アルコール性肝硬変(ALC)に対する肝移植は、高い有効性の一方で再飲酒という社会的問題を孕む。近年増加傾向であるALC患者の肝移植の現状と再飲酒例について検討した。【方法】2001年1月から2020年3月における成人生体・脳死肝移植の成績をまとめ、さらに当施設で経験した再飲酒例について報告する。当施設では、ALCに対する必要断酒期間は生体6か月、脳死18か月。【結果】2001年1月から2020年3月で、33例の肝移植を施行しており、生体肝移植が29例(87.9%)、脳死肝移植が4例(12.1%)であった。1,5年生存率は生体肝移植で95.8%、95.8%、脳死肝移植で100%、100%であった。また同期間において、明らかな再飲酒症例を2例(6.1%)認めた。2例とも1年以内に再飲酒しており、その後消化器内科による介入、精神科の専門プログラムにも通院したが、2例とも再々飲酒を認めた。再飲酒例2例では、年齢、性別、禁酒期間、家族サポート状況など、非再飲酒例と比べて特記すべき特徴はなかった。【結語】ALCに対する肝移植は、適切な介入により長期生存がのぞめる一方で、再飲酒例の対応などの社会的課題とあると考えられる。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 55 (Supplement), 276_1-276_1, 2020

    一般社団法人 日本移植学会

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