秋田大学における65歳以上のレシピエントに対する腎移植の治療成績について

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抄録

<p>【緒言】高齢者では免疫応答が低下するため過剰免疫抑制に注意が必要とされる。【方法】2009年11月から2019年4月に当院で腎移植を受けたレシピエントを、移植時年齢55歳未満(若年群:97例)、55歳以上65歳未満(中年群:54例)、65歳以上(高齢群:27例)に分け、薬物動態を比較し臨床結果を後方視的に検討した。免疫抑制法はTAC、MMF、PSL、Bxで導入し2013年10月以降は移植2週後からEVRを追加した。免疫学的ハイリスク症例ではリツキシマブ投与や抗体除去を行った。高齢を理由に免疫抑制プロトコルの変更は行わなかった。【結果】夫婦間移植の割合は若年群で有意に低かった。各群間でリツキシマブ使用例や拒絶治療例の割合、移植後1年までの各免疫抑制薬の薬物動態、移植後5年までのeGFRに有意差を認めなかった。観察期間中に感染症で入院を要した症例は各群で26%、18%、14%発癌は2%、8%、11%に認められ、いずれも有意差はなかった。移植後5年正着率はそれぞれ95%、82%、87%であったがdeath censoredでは95%、96%、100%であった。【結語】65歳以上の腎移植レシピエントでは薬物動態が若年者と同等にもかかわらず、免疫抑制療法に伴う有害事象や拒絶反応の発症率が若年者と同程度であり、免疫抑制薬の過度な減量には注意が必要である。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 55 (Supplement), 362_1-362_1, 2020

    一般社団法人 日本移植学会

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