小児肝腫瘍に対する肝移植

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抄録

<p>【目的】小児肝腫瘍に対する肝移植は根治療法の選択肢の一つである。本邦において肝移植医療は、生体肝移植が主流であり、肝腫瘍に対して適切な時期を選択することが脳死肝移植と比較し利点といえる。今回、本邦における小児肝腫瘍に対する肝移植成績を報告する。【対象】日本肝移植学会を中心に集計された、2018年12月までに肝移植が施行された小児肝腫瘍症例(18歳未満)を対象とした。【結果】小児肝腫瘍に対して129例の肝移植が施行されており、うち102例が肝芽腫に対するもので、次いで肝細胞癌が9例、肝血管腫が7例であった。肝不全に移行した肝血管腫1例の脳死肝移植、肝芽腫1例にドミノ肝移植が行われたが、その他は生体肝移植で行われていた。肝移植後生存率は良性、悪性でそれぞれ、1年生存率が83.3%、88.9%、5年生存率が71.4%、79.3%であった。肝芽腫102例のうち、72例が一期的に肝移植、30例が肝切除後に肝移植が施行されていた。生存率は全体で80.3%、再発後移植症例で76.6%であった。肝細胞癌は9例中4例で胆道閉鎖症との合併であり、移植時に偶発的に発見されていた。移植後の成績に関しては、9例中5例生存(55.6%)であった。【結語】肝芽腫に対する肝移植成績は良好であったが、小児における肝細胞癌に対しての肝移植成績は、既知の報告通り不良であるため、移植適応、術後の経過には注意が必要である。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 55 (Supplement), 343_1-343_1, 2020

    一般社団法人 日本移植学会

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