平成30年7月豪雨により広島県および愛媛県で発生したいくつかの山地地すべり災害の概要

書誌事項

タイトル別名
  • A Brief on Some Landslides in Hiroshima and Ehime Prefecture Triggered by the 2018 July Heavy Rain
  • ヘイセイ 30ネン 7ガツ ゴウウ ニ ヨリ ヒロシマケン オヨビ エヒメケン デ ハッセイ シタ イクツカ ノ サンチ ジスベリ サイガイ ノ ガイヨウ

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説明

<p>西日本を中心に多くの災害を発生させた平成30年7 月豪雨は,2日間あるいは3日間といった比較的長い間強い雨が継続したことが特徴で,多くの地点で24・48・72時間雨量が観測史上最大値を更新した。この豪雨により広島県や愛媛県では山地地すべりが多発しており,筆者らは広島県で3カ所,愛媛県で2カ所の現地調査を行った。広島県では,風化花崗岩のみならず流紋岩斜面の遷急点付近で表層崩壊が多発しており,コアストーン等の巨大な岩塊の多さが特徴として認められた。治山ダムは一部が流出している現場も認められたが,ダム背後は緩い斜面を形成しており,また,ダムの下流側に比べて明らかに侵食量が小さいなど,土石および流木の捕捉のほか,土石流の減勢にもその機能を相当程度発揮していた。愛媛県では,遷急点よりもさらに上流の緩勾配斜面を 源頭部とする最大深さが10m にも及ぶ崩壊も認められた。記録的な豪雨を受けることよる規模の大きな表層崩壊発生の可能性が示唆された。気候変動の影響を受けて山地地すべりの主たる誘因である降雨の極端化が進行している現状においては,ハード対策,事前防災・減災対策としてのソフト対策,森林防災機能の高度発揮など,あらゆる側面の取り組みを加速することが肝要である。</p>

収録刊行物

  • 水利科学

    水利科学 64 (2), 1-20, 2020-06-01

    一般社団法人 日本治山治水協会

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