腎移植後多胎妊娠

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抄録

<p>免疫抑制薬進歩による腎移植生着率向上から、以前は諦めていた腎移植レシピエントも妊娠出産をトライできるようになり、腎移植後妊娠出産数は年々増加している。移植時年齢により、卵子の年齢が低下してくる時期に、妊娠許可が出る腎移植患者も多い。腎移植レシピエントの女性側の不妊の原因は、高プロラクチン血症、低エストロゲン血症、低プロゲステロン血症による排卵障害が主であり、不妊症外来が必要となることが多い。タイミング法から排卵誘発法、人工授精法、体外受精法へステップアップする。腎移植後は、胎児発育不全(FGR)の原因となる因子が多い。母体側の妊娠高血圧症候群(PIH)、腎臓病、貧血、糖尿病とともに、胎児側の因子である多胎を追加してはいけない。腎移植後は多胎を回避するために、排卵誘発しながら人工授精はおこなわない。当院において腎移植後多胎妊娠を3例経験した。原疾患は、1型糖尿病2名、多発性嚢胞腎1名。妊娠時の年齢は33、35、35歳であった。いずれの不妊治療法も人工授精であり、2例で排卵誘発、1例は両側排卵であった。妊娠週数は、27、26、34週で、出生体重は609/638g、721/973g、1955/2188gであった。腎移植後の多胎妊娠を避けるためには、不妊症外来との密な連携が必要である。当院での3例からの経験と、多胎を避けるための取り組みを紹介する。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 55 (Supplement), 303_2-303_2, 2020

    一般社団法人 日本移植学会

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