餌付けニホンザル群におけるブレンド餌の効果
書誌事項
- タイトル別名
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- Effect of the blended feed among provisioned Japanese macaques at Takasakiyama
抄録
<p>高崎山自然動物園では,個体数増加に対する対策として撒き餌の量を徐々に減少させてきたが,サルの群れが山からサル寄せ場に下りて来ない日が多くなるなどの観光地としての課題に直面している。2020年8月,サルの撒き餌に対する満足度を上げるため,1日数回の餌撒きのうちの2回を,3 ㎏のコムギに替えて,同カロリーとなる5ミリ角に切られたサツマイモ4 ㎏とコムギ1 ㎏をブレンドした餌(以下,ブレンド餌と呼ぶ)に替えた。そこで,コムギ餌と比較することによって,ブレンド餌の効果を検証した。まず,サルの撒き餌に対する満足度を調べるために,餌付け餌の嗜好性調査を行った。コムギと小さく切ったイモのどちらを好んで採餌するかを調査した結果,高崎山群では,サツマイモに対して高い嗜好性を持つ個体が多いことが分かった。次に,各個体の餌付け餌の獲得量を調査するために,サルが餌撒き場に滞在する間の採餌行動を観察し,各餌撒きで獲得している餌の個数を調査した。その結果をもとに,摂取エネルギー量と採餌で頬袋に蓄えた餌の体積を推定した。その結果,ブレンド餌時は,獲得する餌の個数は減少するが,角切りイモを食べることで頬袋が大きく膨らむため,短期的には満足度を高めることができると考えた。さらに,ブレンド餌に対する長期的な満足度を推定するため,採餌時間と摂取エネルギー量から採餌効率を分析すると,上位個体の摂取エネルギー量がブレンド餌時には大きく低下していることが分かった。高崎山群では餌付け餌への依存率が高いため,ブレンド餌の回数を増やすことによって,毎年子を産む上位個体の出産率を低下させ,個体数増加を抑制させる効果があると考えた。また,1回の餌撒きに集まるサルの個体数調査では,コムギ餌よりもブレンド餌の方が個体数が減少することが分かった。撒き餌の個数が少ないブレンド餌では,上位個体に怯えながら餌を拾う下位個体は餌撒きに参加しにくいと考えた。</p>
収録刊行物
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- 霊長類研究 Supplement
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霊長類研究 Supplement 37 (0), 56-56, 2021
日本霊長類学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390007989537668736
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- NII論文ID
- 130008091076
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可